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あしたも晴れる 1話 「神の眼(テオスブルー)」

原作:春ト

この台本の
著作権は作者にあります。
著作権は放棄してません。

キャラクター紹介(イラストあり)
http://ch.nicovideo.jp/3nen8kumi/blomaga/ar456286

《配役》


天上明日香♀(てんじょうあすか)17歳【ワード数:157】
矢島昇♂(やじまのぼる)17歳【ワード数:58】
天上翔♂(てんじょうかける)26歳【ワード数:40】
雫♀(しずく)17歳【ワード数:10】
森の神様♀見た目10歳の妖精【ワード数:41】
男性客【ワード数:1】
女性客1【ワード数:1】
女性客2【ワード数:1】





総ワード数:312





性別比率
♂3:♀5





サブタイトル「神の眼(テオスブルー)」




天気:晴天


(教室)

1   雫     「やっと、終業式終った~」

2   明日香   「やったー! 今日から夏休みだー!」

3   雫     「明日香~。楽しそうだね~」

4   明日香   「だって、夏休みはイベントだらけだよ。花火に、お祭りに、海とか、
           楽しいことがいっぱいなんだよ。ワクワクしない方がおかしいでしょ?」

5   雫     「はいはい、昇君とのデートも楽しみ、だと」
 
6   明日香   「はあ? なんで昇が出てくるの」

7   雫     「あれ? 昇君と付き合ってるんじゃなかったの?」

8   明日香   「いやいやいやいや、付き合ってるわけないでしょ、雫の頭の中はどうなってるの?}

9   雫     「だって、2人仲いいじゃん」

10  明日香   「どこが? ウザイだけだし」

11  雫     「ふ~~~~ん、昨日 一緒に帰ってたのに?」

12  明日香   「昨日は、たまたま昇降口で会って、家が隣だから、一緒に帰っただけ」

13  雫     「幼馴染だから?」

14  明日香   「もう、いいでしょ。帰るよ」


(下校中)


15  明日香   「夏休みも始まったし、雫は何して遊ぶ?」

16  雫     「それはもちろん、祭りでしょ」

17  明日香   「あ~、なるほど。この島の名物だもんね~。確か、来月の15日だっけ?」

18  雫     「そうそう、いつも8月15日にやるから、小遣いをためる為に、バイトするんだ~」

19  明日香   「え? 雫って、バイトするの?」

20  雫     「やっぱり、遊ぶためには、稼がないと。明日香は、バイトしないの?」

21  明日香   「うん~…私も、バイトしようかな~」


(明日香の家)
(家の中、足音)

22  明日香   「おに~いちゃ~ん」(甘えた声で)

23  翔     「どうしたんだい、明日香?」

24  明日香   「お兄ちゃんって、喫茶店の店長だよね?」

25  翔     「忘れたのかい? 僕の店なんだから、店長なのは当たり前だよ」

26  明日香   「じゃあさ、私を喫茶店の従業員として雇ってよ。夏休みの間だけでいいからさ」

27  翔     「ずいぶんと、急な話だね。欲しいものでもあるのかい?」

28  明日香   「来月のお祭りまでに、お小遣いを稼ごうと思って。だって、雫はバイトするんだよ。
        私だけ、お金持ってなかったら遊べないじゃん」
       
29  翔     「店に来ても、飲み食いしかしない明日香が店を手伝うね~…」

30  明日香   「一生懸命、働くから、お願い!」

31  翔     「う~ん、従業員は多いほうが助かるからね。それじゃ、一緒に手伝ってよ」

32  明日香   「やった! お兄ちゃん大好き!」

33  翔     「それじゃあ、明日から頼むよ」

34  明日香   「ほいよー、任せて!」


(翌日、喫茶店へ行く途中)

天気:晴天


35  明日香   「おっと、いつも見かけるお地蔵さんだ~」

36  明日香   「よし、ここは1つ、神様にお願いしよう」

(明日香、手を合わせる)

37  明日香   「今日から、お兄ちゃんの喫茶店で働きますので、よろしくお願いします、っと」

38  明日香   「よーし、これでOK! あ、そうだ。これから毎日、バイト行く前に拝んじゃおーっと!」


(喫茶店内)
(カランコロンカラーン)


39  明日香   「おはようございまーす!」

40  昇     「オッス、明日香」

41  明日香   「なんで、昇がいるの?」

42  翔     「あれ? 言ってなかったっけ?」

43  明日香   「なんも聞いてないけど」

44  翔     「えっと、夏休みの間だけ、バイトすることになった、昇。
           で、同じく夏休みの間、バイトする明日香。って、知ってるよね?」

45  昇     「まあ~、あんまり言いたくないが、〝いちお〟幼馴染だからな」

46  明日香   「って、ちょっと昇。野球部はどうしたの?」

47  昇     「しばらく休む」

48 明日香   「はー!? あんた、甲子園、行くんじゃなかったの? 
          そのために、小学生から野球一筋だったのに、なにやってんの!?」

49  昇     「うっせーな! さっさと仕事しろよ!」

50  明日香   「なによ! その言い方!」

51  翔     「まあまあ、明日香。お店の準備をしようか」

52  明日香   「は~い」

53  明日香N  「私は、お兄ちゃんの指導のもと、床掃除をしたり、
           窓を拭いたりして、開店準備を終わらせた」

54  翔     「それじゃあ、明日香は、表のプレートをひっくり返して」

55  明日香   「はーい。準備するのも、結構、忙しいな~
           やっぱ、お金を稼ぐのってラクじゃないな~…」

56  翔     「昇は、コーヒー豆を倉庫から取ってきてくれるかい」

57  昇     「はいよ、翔兄」


(翌日、開店した店)
(カランコロカラーン)

58  明日香   「いらっしゃいませ、天上庵(てんじょうあん)へようこそ」

59  翔     「明日香、ちょっと」

60  明日香   「なに? お兄ちゃん」

61  明日香M  「まだ、やることあるの? ちょっと休ませてよ~、
           って、言いたいけど、仕事だもんね、がんばろ~」

62  翔     「このメモにお客さんの注文を書いてごらん」

63  明日香   「ええ!? もう注文とるの~ なんか、緊張するよ~」

64  翔     「大丈夫。さっき教えたとおりに、やればいいんだよ」

65  明日香   「でも、初めてだし…」

66  翔     「明日香は、かわいいから許されるよ」

67  明日香   「それって、どうゆう意味?」

68  翔     「ほら、行っておいで」

69  明日香   「う、うん。い、行ってきます」

70  明日香M  「ああ~、なんかやだな~。初めてお客さんと接するんだよ、うまくいくかな~
           って、男の人だし、怖いよ~。ああー、神様、失敗しませんように!」


(店内、接客)


71  明日香   「い、いらっしゃいませ。ご、ご注文はお決まりでしょうか?」

72  男性客   「えっと、エスプレッソで」

73  明日香   「は、はい。エ、エクスンプレスですね。少々、お待ちください」

74  昇     「明日香、言い間違えてるぞ」

75  明日香   「え? ウソ。ヤダ、恥ずかしい~」

76  昇     「ったく、しかっりしろよ」

77  明日香M  「お客さんにも、笑われたし、昇にも聞かれちゃったよ。
           ああああ~…もう~…最悪だ~」

78  昇     「お待たせしました。エスプレッソになります」

79  女性客1  「すいません、注文いいかしら?」

80  昇     「はい、ただいま。――ご注文を繰り返させていただきます。
           サンドイッチセットのブラック1つで、よろしいですね? 
           かしこまりました、少々、お待ちください」
       
81  明日香M  「昇、接客うまいな~。私と同じで、今日から働いているとは思えない。
           はあ~、私、もっとがんばらないと…」
       
82  翔     「昇、倉庫から、コーヒー豆を持ってきて」

83  昇     「さっき持ってきたばかりなのに!?」

84  翔     「夏休みだからね、客が多いのさ。それに、外は暑いけど、
           店内は涼しいから客が増えて、商売繁盛ってことだよ」

85  昇     「へいへい、すぐに持ってくるよ」

86  明日香   「あ、そうだ。私も、倉庫へ行ってこよう」

(扉の音)
(倉庫内)


87  昇     「お前、ホントなんだよな?」

88  明日香M  「あれ? 昇だけだと思ったけど、
           他にいたのかな?
           誰と話してるんだろ?」

89  昇     「そりゃあ、信じてるけど…」

90  明日香   「昇、誰と話してるの?」

91  昇     「わっ!? なんだ、明日香か!」

92  明日香   「そんなに驚かなくてもいいでしょ。さっき、誰かと話してなかった? 誰かいるの?」

93  昇     「バ、バカじゃねーの。誰もいるわけねーだろ。お前の空耳だろ」

94  明日香   「そんなはずない。ちゃんと昇が話してたの聞いたし」

95  昇     「はいはい、俺は戻るから」

96  明日香   「なにそれ? なんか、怪しい」


(閉店、店内)
(椅子に座る)

97  明日香   「はー、疲れたー お風呂に入って一杯やりたいよ~」

98  昇     「お前は、オヤジか」

99  明日香   「うっさい」

100 翔     「今日はお疲れ様~。初めてだから疲れたよね?
           まあー、コーヒーしかないけど、ゆっくりしていきなよ」

101 明日香   「ありがとう、お兄ちゃん」

102 昇     「ありがとう、翔兄」

103 明日香   「でも、昇は、どうして部活やめてバイトしてるの?」

104 昇     「アホか、部活はやめてねーよ 休んでるだけだ」

105 明日香   「は? じゃあ、なんでバイトしてんの?」

106 昇     「なんだっていいだろが」

107 明日香   「あんた、もしかして、お祭りに行くために、お小遣い稼ぎを?」

108 昇     「そんなわけねーだろ。明日香じゃあるまいし」

109 明日香   「なんだとー! 昇のくせに!」

110 翔     「はいはい、夫婦ゲンカしないでね~、また明日も、よろしくね~」





天気:晴天

(次の日の朝、地蔵に手を合わせる明日香)
(お地蔵様の前)


111 明日香   「今日も、無事にバイトが出来ますように」


(店内)


112 明日香   「おはようー! お兄ちゃん、昇」

113 翔     「おはよう、明日香」

114 昇     「オッス、明日香」

115 翔     「早速だけど、明日香は窓拭き担当で、昇は倉庫の整理を頼むよ」

116 昇     「了解!」

117 明日香   「よーし、頑張るぞー」

118 昇     「お、気合入ってるな、明日香」

119 明日香   「当たり前でしょ! 昇なんかに、負けないんだからっ!」

120 昇     「いつから勝負してたんだ?」

121 明日香   「昨日から」

122 昇     「昨日からって、全然知らなかった。お、俺も負けないからなっ!」


(数分経過した店内)


123 翔     「明日香~、昇がまだ倉庫から戻ってきてないんだ。ちょっと見てきてくれるかい?」

124 明日香   「わかったー!」


(倉庫前)


125 明日香M  「やっぱり…怪し~い」

126 昇     「ホントかよ、神様」

127 明日香M  「神様?」

128 昇     「はいはい、うんで、次はどうすればいい?」


(倉庫内)


129 明日香   「昇! あんた、神様と話してるの?」

130 昇     「明日香!? ビックリさせるなよ~」

131 明日香   「ねーねー。私、はっきりと聞いちゃった。昇が『神様』って言ってたの」

132 昇     「お、お前、バイトのし過ぎで、つ、疲れてるんだよ。少し休め」

133 明日香   「そんなはずないでしょ」

134 昇     「お、お前も、ちゃんと仕事しろよ~ じゃあな」

135 明日香   「怪しい…怪しすぎる…」


(店内)


136 明日香   「ねえ、お兄ちゃん。昇、怪しくない?」

137 翔     「う~んと~…」

138 昇     「――かしこまりました。少々お待ちください」

139 翔     「ちゃんと、仕事してるように見えるけど?」

140 明日香   「確かに、仕事はきちんとしてるけど…。
           あいつ、倉庫の中で、誰もいないのに1人でしゃべってるんだよ」

141 翔     「ヒトリで、しゃべってる?」

142 明日香   「そう。神様とか言ってんの。ゼッタイおかしいよ」

143 翔     「ん、おかしいかどうかは、わからないけど。明日香は、昇のこと、良く見てるね~
           僕は、ちっとも気づかなかったよ~。そこまで、昇が心配だったんだね~、明日香は優しいね~」

144 明日香   「だって、怪しすぎるんだもん」

145 翔     「まあ、気になる話だけど、僕は、倉庫に行ってくるからね~」

146 昇     「ちょっと待って、翔兄!」

147 翔     「何? 昇?」

148 昇     「俺が、行くよ。何を持ってくればいい?」

149 翔     「それじゃあ、サンドイッチ用のパンを2袋持ってきてくれるかい?」

150 昇     「お安い御用だ」

151 明日香M  「よし、ついて行って、ばれないように昇を見張ろう。
           今度こそ、証拠をつかんでやる」


(倉庫前)


152 明日香M  「よし! 昇が倉庫に入った。なんかしゃべれば、今度こそ証拠を押さえられる!」

153 明日香M  「あれ? 倉庫から出ちゃった? なにも話さなかったな~。
           それじゃあ、倉庫の中でも調べてみますか」


(倉庫内)


154 明日香   「んん…どこだ、どこだ~。昇の独り言の原因は、どこだ~」

155 明日香   「ああ、もうっ! ぜんぜん、見つからない。
           なんで、昇は倉庫の中で誰もいないのにしゃべってるんだろ?」


(次の日の朝、地蔵の前で手を合わせる明日香)

天気:晴天


156 明日香   「本日も、無事にバイトが出来ますように。あと、昇の行動がおかしいんですよ、お地蔵さん。
           なんででしょうか? って、しゃべるわけないか、早くお店に行こう~っと」
       
       
(店内)

157 明日香M  「気になる、気になる。昇のことが、気になる~」

158 翔     「う~ん、明日香は、ず~と、昇を見てるね~」

159 明日香   「だって、昇のことが気になるんだもん。朝から夜寝るまで。
           しかも夢にまで出てくるし、もう24時間、昇のこと考えてるんだよ」

160 翔     「まさしく、恋だね。明日香から告白すればOKもらえるはずだよ。
           明日香は、かわいいからね」

161 明日香   「そんなんじゃないよ、お兄ちゃん、私が昨日、言ったこと覚えてる?」

162 翔     「何の事かな?」

163 明日香   「昇が怪しいって、話」

164 翔     「あ~、あれか~」

165 明日香   「だから、昇に怪しい所がないか、見張ってるの」

166 翔     「見張るのはいいけど、仕事もしないとね」

167 明日香   「わかってるよ」

168 昇     「いらっしゃいませ。天上庵へ、ようこそ。2名様ですね。
           おタバコは吸われますか? では、こちらへどうぞ」

169 明日香   「ムカつくくらい、接客がうまくなってる」

170 翔     「明日香も、うまくなってるよ」

171 明日香   「え? 本当にそう思う?」

172 翔     「けど、昨日の注文を間違えたのは、よくなかったかな~」

173 明日香   「ほら、やっぱり、誉めてな~い」

174 翔     「すねてる明日香も、かわいいよ」

175 明日香   「ちょ、ちょっと、お兄ちゃん。抱きつかなくても――お客さんみてるよ」

176 明日香M  「へ? お兄ちゃん、シスコンだったけ? 
           なんで、抱きつかれてるの? あれ? あれ~?」

177 翔     「この温もりが…織姫(おりひめ)に似てる…」

178 明日香M  「織姫…さん!? 確かに、そう聞こえたけど…」

179 明日香   「お、お兄ちゃん!? もしかして、まだ、織姫さんの、こと…」

180 翔     「ほら、明日香。5番テーブルにショートケーキを運んで」

181 明日香   「う、うん…わかった…」


(倉庫前)


182 明日香M  「また、昇が倉庫の中に入った。今度こそ、証拠をつかんでやる」


(倉庫内)


183 昇     「だから、言われたとおりにしてるだろ!?」

184 明日香M  「また始まった。けど、やっぱり倉庫の中は昇だけ」

185 森の神様  「あのね~、昇。あんた、本気で翔の命を守る気あんの?」

186 明日香M  「え? 女の子の声? どこ、どこにいるの?」

187 昇     「あるに決まってるだろ。だから、バイトだって始めたんだ」

188 森の神様  「あんた、根性がたらないのよ。もっと危機感を持ちなさいよね!」

189 昇     「つったって、いつ起きるかわからねーんだろ?」

190 明日香M  「え? なに、あれ?」

191 森の神様  「あのね、あたしは、この島の神様なの! あんたの将来を不幸にだってできるのよ」

192 明日香M  「な、なに? あの小さい女の子? も、もしかして、妖精?」

193 昇     「あー、もう~。どうして俺は、こんな奴にかかわっちまったのかな~」

194 明日香   「昇、その、かわいい妖精、なんなのよ?」

195 昇     「へ!? 明日香!?」

196 森の神様  「あら、小娘。今朝がたぶりね」

197 明日香   「今朝がたぶりって、初めて会ったけど? ねえ、この妖精って、本物なの?」

198 昇     「明日香、もしかして、コイツが見えるのか?」

199 森の神様  「昇、コイツとは失礼ね。私は、『森の神』って、立派な名前があるのよ」

200 明日香   「森の神って、名前じゃないよ」

201 森の神様  「は? 名前じゃないって言ったって、神々の間では、
           あたしは『森の神』と呼ばれてるんだから、これが名前なの!」

202 明日香   「私の名前は、天上明日香。これが、名前っていうの、
           森の神様に名前がないなら、私がかわいい名前をつけちゃうよ」

203 森の神様  「はあ~? 小娘ふぜいが、神に名前をつけるって、聞いたことないわよ」

204 明日香   「じゃあね~…こんなのどう?
           この島の名前が御宮島(みぐうじま)でしょ。
           で、この島の神様だから『みぐちゃん』ってどう?」

205 昇     「うわ! ネーミングセンスねぇー」

206 明日香   「でも、みぐちゃんって、言いにくいよね。しかもかわいくないし。
           だから、ミグ…ミギュ…ミキュ…ミクちゃん? うん、これの方がいい。
           今日から森の神様は、ミクちゃんね。はい、決まりー!」

207 森の神様  「人間ごときに、名前をつけられるとは…。認めない、断じて認めない!」

208 明日香   「森の神様が認めなくても、私は勝手に呼ぶもんね~」

209 昇     「でも、どうして、明日香に見えるんだ?」

210 森の神様  「小娘は、毎朝、喫茶店に来る途中で、森の祠に拝んでるでしょ?」

211 明日香   「うん、拝んでるけど」

212 昇     「マジか!? そんなことしてたのか」

213 森の神様  「いまどき感心な小娘だな~、と、特別にあたしの姿を見せているのに、
           神である、あたしに変な名前を付けるし、お供え物はぜんぜんよこさないし、
           とんでもない小娘よ!」

214 明日香   「私も、こんなにも口の悪い神様だとは、思わなかった。拝むんじゃなかった」

215 昇     「は~、まったく、さらにヘンテコになってきたな~」

216 明日香   「でも、なんで昇は、ミクちゃんが見えるの?」

217 昇     「それは、今から2週間前の話だ。部活の帰りに森の祠の前を通ってたんだ。
           すでに日は沈み、辺りは真っ暗で、明かりは自転車のライトしかなかった。
           そこへ、急に野良猫が飛び出してきて、避けようとしてコケたら、
           祠に突っ込んで、お地蔵さんの頭が取れちまったんだ。そんで、コイツにとり憑かれた」

218 森の神様  「だから、お前等、神をバカにしすぎ! コイツ呼ばわりされるし、ミクちゃんって呼ばれるし」

219 昇     「あ、そうそう、この神様、スゲーんだぜ。『未来が見える』んだよ」

220 明日香   「みらい?」

221 昇     「俺も信じられなかったんだが、信じるしかないんだ。
           コイツは、本物の神様だ。俺は、いくつもコイツが予言を当てたところを見てきた」

222 明日香   「へえー、予言ね~。でも、実際に見てみないと、信じられないな~」

223 森の神様  「神を疑うとは生意気な小娘ね。いいわよ、見せてあげる。店に来なさい」

224 明日香   「ほう~、それじゃ神の力をみせてもらお~じゃない」


(店内)


225 明日香   「思ったんだけど、ミクちゃん。他の人には見えないの?」

226 森の神様  「そうよ。小娘と昇しか見えないの。だから、お店の中で飛び回っても平気なわけ」

227 明日香   「でも、なんかウザイな~。他の人には見えなくても、店の中飛んでたら気になっちゃうよね~」

228 昇     「だから、俺はコイツと話す時は、倉庫にしてるんだよ。万が一バレたらまずいからな」

229 森の神様  「大丈夫よ、祠を壊した者だったら、見えるかも知れないわね。
           でも、1000年生きてきたあたしだけど、そんなバカは、昇しかいなかったわ」

230 明日香   「へ~、1000年も生きてるんだ~。じゃあ、ミクちゃんはおばあちゃ、あ痛ッ!」


(明日香、森の神にビンタされる)


231 森の神様  「はい、小娘うるさ~い。あんた、あたしの力を見に来たんだったら、
           おとなしく、あの赤い服を着た女性客を見なさい」

232 明日香   「別に、ビンタしなくてもいいじゃない…」

233 森の神様  「おい、小娘。あんた、あの女性客に注文をとってきなさい」

234 明日香   「あの、赤い服着た女の人でいいの?」

235 森の神様  「そうよ、それで女性客は『カフェオレ』を注文するはずだから、行って来なさい」

236 明日香   「うん、わかった、行って来る」


(客に注文)


237 明日香   「ご注文をうかがってもよろしいですか?」

238 女性客2  「はい。ええーと、それじゃ~、『カフェオレ』をお願いします」

239 明日香   「カっ!? カフェオレ、ですね。か、かしこまりました。少々、お待ちください」

240 明日香M  「予言が当たってる。これが神様の力なんだ」


(店の奥)


241 明日香   「すごい、すごい! ミクちゃん! お客さんの注文を当てちゃったよ!」

242 森の神様  「へへ~ん、たいしたことないわね」

243 明日香   「それじゃあさ、宝くじの番号とか、当てられるんじゃないの」

244 森の神様  「はい、出ました~。クズ人間の考えが」

245 昇     「そんな、余裕ブッコイテられねーんだよ」

246 明日香   「え? それってどいゆうこと?」

247 昇     「明日香、落ち着いて聞いてくれ」

248 明日香   「あ、う、うん。わかった。落ち着いて聞く」

249 昇     「あのな、いきなり変なコト言うけど、あまり驚くなよ」

250 明日香   「わかったから、早く言ってよ」

251 昇     「あのな…翔兄が、死ぬんだ…」

252 明日香   「へ? お兄ちゃんが、死ぬ?」

253 昇     「8月のお祭りまでに、死ぬんだ」

254 明日香   「お祭りまでって…2週間ちょっとしかないじゃない!」

255 昇     「俺だって、信じられねーけど、見たろ? コイツの力を」

256 明日香   「っ!?」

257 昇     「仕方ねーんだよ。信じるしかねーんだ。だから、俺が翔兄を守るんだよ」

258 明日香   「でも、どうして、昇がお兄ちゃんを守らなくちゃいけないの?」

259 昇     「俺の親父は5年前に死んだ。
           翔兄は、昔から家族のように付き合ってくれた。
           本当の兄貴みたいに親しくしてもらった。
           俺にとっちゃ翔兄は家族なんだ。
           これ以上、家族を失いたくない。
           だから、翔兄が死ぬのを阻止するんだよ」

260 明日香   「そっか、ありがとう」

261 昇     「それに、翔兄は、俺の憧れの人でもあるんだ」

262 明日香   「あこがれのひと?」

263 昇     「翔兄は、野球部のエースだったろ? 
           俺だって、いちお野球部の端くれなんだから、助けたいんだよ」

264 明日香   「ありがとう。よーし! 私もお兄ちゃんを守るよ!」

265 森の神様  「小娘に出来るかしら~?」

266 明日香   「できるよ~、まかせて!」

267 昇     「ホントに、大丈夫かな~…」


(明日香の部屋内、しかも夜)


268 明日香   「お兄ちゃんが、お祭りまでに死ぬ、か…」


269 明日香M  「神様の予言だから、実際に起こるのは証明済み。
           けど、どうして、お兄ちゃんが死ななきゃいけないのかな?
           しかも、どうやって死んでしまうのか、わからないって言うし」

270 明日香   「なんか、いい加減な、神様だな~」

271 森の神様  「どこが、いい加減なのよ」

272 明日香   「ミクちゃん!? どうして居るの?」

273 森の神様  「いいじゃない、昇と小娘の家は隣同士だし、
           遊びに来たっていいでしょ、迷惑だった?」

274 明日香   「いや、迷惑じゃないけど…」

275 森の神様  「さっき、昇と一緒にお風呂に入ってきた」

276 明日香   「ええ! ズルイ! 私もミクちゃんと入りたい! 明日は、私と入ろうよ」

277 森の神様  「なんで、そうなるのよ。あたしは、いちお女なの」

278 明日香   「まあ、そうだけど、それがどうかしたの?」

279 森の神様  「あのね、自慢じゃないけど、神々の間では、あたしはトップクラスの可愛さを持ってるのよ」

280 明日香   「見ればわかるよ~。かわいいし、ほっぺ、ぷにぷにだし~」

281 森の神様  「あんたら、あたしを神様だと全然、思ってないわね。
           お風呂に入ったって、こんな反応じゃ、いつまで経っても進展ないのよ」

282 明日香   「進展って?」

283 森の神様  「あんたって、昇と顔あわせると、いつも口げんかしてるわけ?」

284 明日香   「いつもケンカしてるわけじゃないけど、なんていうか…ムカつく」

285 森の神様  「ドコらへんが?」

286 明日香   「生意気だし、すぐ、うるせーって言うし、部活してないし、
           とにかく、あいつの顔を見るだけでイライラするの」
           
287 森の神様  「でも、ちょっとだけ、悪い気もしてるんでしょ?」

288 明日香   「まあ、言い過ぎたな~、とは思ってるけど…
           でも、お兄ちゃんを守るって言ってくれたのは嬉しかった」

289 森の神様  「やっぱり、昔の気持ちと、少しも変わってないのね」

290 明日香   「変わってないって、何が?」

291 森の神様  「なんでもないわよ。それにしても、能天気にしてるわね~
           自分のお兄ちゃんが、死んじゃうっていうのに、余裕ね」

292 明日香   「余裕じゃないよ。ミクちゃんに、色々と聞きたいことがあるの」

293 森の神様  「いいわよ、特別に神様が答えてあげる」

294 明日香   「どうして、お兄ちゃんが、死ななきゃいけないの?」

295 森の神様  「そんなの知らないわよ」

296 明日香   「神様なのに、なんで知らないの?」

297 森の神様  「ただ予知しただけで、原因なんて検討もつかないの。
           けどね、無くなった者を取り戻したい気持ちが強ければ、よみがえるかもしれないわよ」

298 明日香   「え? お地蔵さんに祈れば、よみがえるかもしれないの?」

299 森の神様  「想いが強くかかる人って、大切な人よね。
           つまり、家族や友人、恋人とかね。
           けど、いくら想いが強くても、帰ってこないのよ。
           なぜだかわかる?」

300 明日香   「え? そんな、急に言われても…」

301 森の神様  「人は、不思議な力をもってないのよ。
           だから、神様に、『どうか助かてください』って祈るのよ。
           けど、人が生き返ったって話、聞いたことある?」

302 明日香   「ううん、そんな人はいない…」

303 森の神様  「なぜなら、神様もそんな力をもってないからよ。
           命を作ることはあっても、元々あった命が無くなって、復活させるなんてできないの。
           忘れるんじゃないわよ、神様は万能ではないの。
           神様にだって、出来ないことはあるのよ。
           けど、人間は面白い。分かっているのに、神に祈る。
           それだけ、大事な時間を、大切な時間を共に歩んだ証拠でしょ。
           けど、あたしにはそれがない。
           いつも神様は、1人。
           誰かと一緒に、笑ったり、怒ったり、泣いたりしないのよ」

304 明日香   「ミクちゃん、かわいいのに、モテないの?」

305 森の神様  「人気はあるわよ。けどね、神って存在は、1人でいなければならないの。
           他の神と寄り添ったりしないの。
           だから、人間はどうして、寄り添うのか、ずっと見てきた。
           けど、いまだに答えは見つからないわ」

306 明日香   「ミクちゃん、もしかして…」

307 森の神様  「あーあ、なに変なコト喋ってるんだろ、あたしは。
           眠いから、そろそろ帰るわね。
           昇と一緒の布団で寝るんだもんね~」

308 明日香   「ああー、ずるい! 明日は、私と一緒に寝てよね!」

309 森の神様  「誰が、小娘と寝るもんですか。
           若い男がいいに決まってるでしょ」

310 明日香    「やっぱり、年取ると若い男の方がいいのか。
            ミクちゃんは、おばあちゃんだから、しか――あ、痛!」

(明日香、森の神にビンタされる)

311 森の神様   「うるさい!」

312 明日香    「だから、はたかなくてもいいでしょ」



―1話終了―

2話目へ



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